ワイン好きの友達が一緒に行こう誘ってくれて、Clos Du Val (クロ・デュ・ヴァル)に行ってきました!実は、このワイナリーを一気に有名にした「パリスの審判」について知らずに訪問したのですが、調べてみてビックリ、メチャクチャ有名なワイナリーだったんです。道理で、ワインも美味しかったわけですね。その後にも数軒まわりましたが、このワイナリーが美味しすぎて、他のワイナリーは時間もお金も無駄にしたなと思うほどにレベルが違いました。
5000文字超えの大作ですが、本当にいいワイナリーだったので魂を込めて書きました!
クロ・デュ・ヴァルとパリスの審判
1976年にアメリカ独立200周年を記念して、ワインの本家フランスワインと新興ワインであるカリフォルニアワインを対決させて、アメリカを「応援しよう」というイベントが企画されました。対決方法は、赤・白10本ずつのワインをワイン名を伏せて、評論家たちに評価させ、その点数を競うというものでした。アメリカを応援しようという言葉遣いからも、その時の立ち位置が読み取れます。
当時、カリフォルニアワインは全くの無名で、フランスワインが全盛期の時代。
イベントを企画した人たちも、当然フランスワインが1位、カリフォルニアワインは2〜4位のどこかに入っているといいなぐらいに思って、企画を催したといいます。
下記の文面をみても、カリフォルニアワインが、当時は如何に低く見られていたかがわかるのではないでしょうか。
当時、カリフォルニアワインがフランスワインに挑むというのは、いうならば田舎の中学の野球部が、ニューヨーク・ヤンキースと試合をするようなものです。結果のわかりきった戦い。それでもヤンキース側は、一軍のスター選手(ムートン、オー・ブリオンなど)まで投入して、万全を期しました。審判(審査員)もすべて、ヤンキースの息がかかった連中(フランスのワイン業界人)で固められていました。試飲本数が多少多かったとはいえ、カリフォルニアの勝利は何重にも禁じられていたのです。
ところが。。。蓋をあけてびっくり!
「赤も白も、カリフォルニアワインが1位を独占してしまう」というあってはならないことが起こってしまいました!!!
1976年、世界中のワイン関係者を震撼させた事件が起きました。アカデミー・デュ・ヴァンの創始者スティーヴン・スパリュアが主催したブラインド・テイスティングにおいて、まったく無名のカリフォルニアワインが、バタール・モンラッシェ、ムートン、オー・ブリオンといった最高のフランスワインを打ち破ったのです。米国『タイム』誌のジョージ・テイバーは、有名なギリシャ神話の挿話になぞらえて、『パリスの審判 Judgment of Paris』という記事をすぐさま発表します。テイバーの記事は、大きな興奮が込められた次の文章で始まっていました。「考えられないことが起きた。カリフォルニアがフランス勢をことごとく打ち倒したのだ……」
震撼させたってスゴイですが、そのくらい当時は大きなニュースで報道されたようです。少年野球チーム(田舎のカリフォルニアワイン)がニューヨーク・ヤンキース(ワインの王者フランスワイン)を破ってしまった訳ですから。
もちろん、フランス勢ももちろん黙っていません。今回の勝負は、フランスワインの飲み頃が来る前に行われた、フランスワインに不利だったと難癖?をつけ、リベンジマッチの話が持ち上がります。
リベンジ戦は、フランスワインの飲み頃と言われる10年後。1986年に、同じ赤ワインで雪辱戦が行われました。今回は赤ワインのみの対決です。
気合を入れて望んだフランス勢でしたが、またしてもカリフォルニアワインが1位を取ってしまいました!!!
(ワーイ!)←筆者の歓声
そして、その時の優勝ワインがClos Du Val(クロ・デュ・ヴァル)だったんです!
注:筆者はフランスワインも好きですし飲んでいるので、決してフランスワインが嫌いなわけではないです。ただ、挑戦者が王者に勝つというストーリーに興奮して歓声が出てしまいました。
このワインを巡る物語、読んでいて鳥肌がたちました。
挑戦者が、王者に立ち向かって、負かして、次の時代を作る!
いいですね!詳しく知りたい方は、下記の本「パリスの審判」をどうぞ。
Clos Du Val(クロ・デュ・ヴァル)のワインは、その新しいカリフォルニアワインの時代を切り拓いたワインとも言えそうです。
クロ・デュ・ヴァルのテイスティング体験
テイスティングメニューは2種類
下記、2種類のテイスティングが実施されています。私たちは、Full Circle, Full Tableに参加しました。Full Circle, Full Tableは室内だけのツアーでしたが、Hirondelle Exclusiveであればワイン畑のツアーも含まれているようです。
それにして、1人$40(約4000円)からって高くないですか?
- Full Circle, Full Table(1人$40、約90分)
- Hirondelle Exclusive(1人$65、約90分〜120分、チーズ付き)
テイスティングの予約は、Clos Du ValのWebサイトもしくは電話(+1 707-261-5212)で予約ができます。
神秘的な空間での極上ワインのテイスティング
私たちは、Full Circle, Full Tableのテイスティングを事前に予約して訪問しました。
入口で受付を済ませると扉の奥のスペースに通され、ワイナリーの説明を聞きながら少し暗い室内を奥へ奥へと進んでいきます。
そして、いよいよテイスティング用スペースに到着。
その空間が素敵すぎて、思わず「おおっ!」て声をあげてしまいました。
映画のワンシーンのように美しかったです。
いくつものワイン樽が、壁のように1つの大きなテーブルのまわりを囲んでいます。
周囲は暗く、この空間だけが明るく照らされており、どんなレストランよりもロマンチックに感じました。
もっといい写真をとることができたら、この素敵さがもっと伝えられるのですが。この写真の100倍は神秘的な空間です!
秘密の空間で、秘密のワイン会議をやっているような気分になりました。ナパの青空の下で飲むワインもいいですが、暗い部屋で飲むワインも大人の雰囲気があってよかったです。
テイスティングは極上のワイン4種類
- 2014シャルドネ
- 2014ピノ・ノワール
- 2013メルロー
- 2012カベルネ・ソーヴェニヨン
ワインのテイスティングだと、あまりワイングラスをワインの種類ごとに変えてくれるところは少ないですが、さすが高級ワイナリー。ワインの種類ごとに、グラスを変えてくれました。下記のような、次から次に飲ませてくれます。最後の方に、ジンファンデルはないの?と聞いたら、特別にジンファンデルも飲ませてくれました!
さすがに、どのワインも美味しかったです。
一番美味しいと感じたのは、4番のカベルネ・ソーヴェニヨン。次に美味しかったのは、1番のシャルドネ。1本ぐらい買って帰ろうかなと値段を聞いてビックリ。4番は私たちの庶民的な予算を軽く超えていたので、1番のシャルドネにしました。それでも、$30-40くらい払ったと思います。私たちには超高級です、十分。
特別な日にオススメのワインです。
ワイン好きの友達も、美味しかったので、お金に糸目をつけずに2〜3本買っていましたね。私もその気持がわかるぐらい、周りのワイナリーとはレベルが違うと思いました。素人なのにゴメンナサイ!その後、2件回りましたが、最後までやっぱりクロ・デュ・ヴァルのワインが美味しかったねと話していましたので。
日本でも、クロ・デュ・ヴァルのワインが輸入されて販売されています。
ワインだけじゃない!さらに、ワイングラスにも注目!
さすが、品質にこだわるワイナリー。ワインのみならず、ワイングラスもすごかった!
テイスティングに使っていたグラスは、折れるかと思うぐらい華奢な持ち手部分で、かなり軽い。ワイングラスのことは全く知らない私でも、そのきれいな形と軽さ・持ちやすさから、これはさぞかしスゴイものだろうと思ってしまうぐらい、本当に素敵なグラスでした。
今まで、市販のRiedelのグラスで満足していましたが、このグラスが欲しくなって、思わずグラスのメーカー名部分を写真を撮ってしまいました。Gabriel Glasと書いてあります。
そして、ナント帰って検索してみると、このグラスはガブリエルグラス(Gabriel Glas)というオーストリア・ウィーンのワイングラスメーカーのものであることがわかりました。日本でも2013年から発売開始され、多くの高級レストランで使用されているグラスのようです。
ガブリエルグラスには、ハンドメイドとマシンメイドがありますが、あの持ち手の細さからいうと、このテイスティングルームのグラスはハンドメイドだと思います。
しかも!あんなに細いのに、食器洗浄機でも洗えて、どんなお酒(もちろんビールも)でも美味しく飲ませてくれる形を追求したワイングラスとは、完璧です。
本当に本当に形がキレイで、人生で初めて美しい!欲しい!と思ったグラスです。
この記事を書き終わったら、本当に注文してしまいそうです。。
クロ・デュ・ヴァルの基本情報
-
住所:5330 Silverado Trail Napa, California 94558 Google マップ
-
営業時間:午前10時〜午後5時
- Webサイト:https://www.closduval.com/
さいごに
ワイナリーのレビューには珍しく、5000文字超えの大作になってしまいました。
書きながら、ワインを飲んだ時やワイングラスの持ち手に気づいた時の感動が蘇ってきて、テイスティングは約4000円と高かったけれども、また行きたいなと思います。行くと思います。
高くても顧客を感動させれば、また戻ってきてくれる。良いお手本となりそうなワイナリーです。ナパバレーの中心にあるので、ぜひ機会があったら訪問して欲しいワイナリーの一つです。
本記事の中で紹介した商品は下記になります。
クロ・デュ・ヴァルを一気に有名にした、パリスの審判に関してまとめられた本です。Amazonのレビューでも名著として絶賛されています。